所在不明の区分所有者の現住所の調査

区分所有建物における居住が確認できず、入居者届等記載連絡先に連絡がつかない分所有者の現住所の調査について解説します。

1.登記情報を確認する

区分所有建物の所有者の住所は登記事項です。分譲マンションの場合、通常、区分所有者の住所は、当該区分所有建物の住所となっていると思われますが、区分所有者が転出し、住所変更の登記をしている場合には、変更後の住所が記載されています。これにより、現住所を確認することが可能な場合があります。

登記情報の確認については、登記情報提供サービスを利用するのが費用も安く、一般的です。誰でも閲覧可能です。

登記情報を確認するための地番や家屋番号等が不明な場合は、管轄の法務局に電話で問い合わせます。

2.住民票(または除票)の写し、戸籍の附票の写しを取得する

(1) 管理組合等による取得について

管理組合等の第三者であっても、要件を満たせば住民基本台帳法第12条の3第1項または同法第20条第3項に基づき、住民票(または除票)の写し、戸籍の附票の写し(以下合わせて「住民票(または除票)の写し等」といいます。)を取得して、区分所有者の住所地を確認することができます。

住民票(または除票)の写しは住所地の役場、戸籍の附票の写しは本籍地の役場に対して請求をします。管理組合が区分所有者の本籍地を認識していることはまずないので、まずは、1で確認した住所地の役場に対して住民票(または除票)の写しを請求します。

転出している場合は、除票の写しに転出先の住所が記載されているので、あらためて転出先の住所地を管轄する役場に住民票(または除票)の写しを請求します。

第三者による住民票(または除票)の写しの請求は、以下の者がすることができます。戸籍の附票の写しも同様です。
① 自己の権利を行使し、または自己の義務を履行するために住民票の記載事項を確認する必要がある者
② 国または地方公共団体の機関に提出する必要がある者
③ 前2号に掲げる者のほか、住民票の記載事項を利用する正当な理由がある者

例えば、管理費等の請求のために、管理組合(の理事長)が、住民票(または除票)の写しの請求をすることは上記の①に該当し、請求することが可能です。①に該当しない場合は、上記の③に該当すれば可能です。③はケースバイケースですので、役場と相談しながら進めます。なお、虚偽の利用目的などを申告して、住民票の写し等の交付を受けた場合は30万円以下の罰金となる犯罪になりますので利用目的については注意が必要です(同法第46条第2号)。

(2) 弁護士による取得について

住民基本台帳法に基づき、弁護士は職務上、受任している事件または事務について住民票の写し等を請求することができます。ただし、法令上、受任している事件または事務(管理費の請求等)について必要な範囲でのみ可能であり、単に住民票の写し等だけを取得する依頼を弁護士が受けることはできません。

3.その他の調査方法

(1) 弁護士会照会の利用

電話番号、車両の登録番号、以前の勤務先等が判明している場合は、当該情報をもとに、各所に契約者情報等について弁護士会照会をすることで、現住所や連絡先を確認できる場合があります。また、警察署に捜索願の提出の有無や、発見情報等を照会することも考えられます。

ただし、弁護士会照会は、弁護士法上、受任している事件について必要な事項を照会することができるものですので、弁護士会照会のみの依頼を弁護士が受けることはできません。

(2) 法人登記

区分所有者が法人代表者の場合、代表者の住所は法人の登記事項ですので、当該法人の登記情報を確認することによって、現住所が確認できる場合があります。法人の登記情報の確認は上記1の登記情報提供サービスを利用します。

(3) SNS

インターネット上に公開されている所在不明者のSNSの投稿やメッセージ(DM)により、現住所が確認できる場合があります。

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